
日本における遊園地・テーマパークの21世紀は、2001年春に西でユニバーサルスタジオジャパン(USJ)が、東では9月に東京ディズニーシーがオープンするという流れの中でスタートしました。
推移グラフを見ていただいてもわかる通り、入場者数的には、それまでの東京ディズニーランド一強時代から、三強時代へと移行しています。
東京ディズニーランドの入場者数が、2001年から2002年で減少しているのは、東京ディズニーシー開園に伴い、分散する形になったものと思われます。なお、国内の資料では、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの内訳が出ているものがありませんでしたので、これら二施設については、海外の資料(各種の世界テーマパーク入場者数ランキング)に基づいています。
東京ディズニーシーは、年間を通してフル営業した初年度となる2002年には、1200万人の入場者数となり、その後も東京ディズニーランドに次ぐ水準で推移しています。
USJの方の初年度は、こちらも1000万人を超える入場者を集めましたが、2年目以降はやや数を減らしました。もっとも、テーマパーク・博物館などの施設で、初年度に突出した入場者数を集めるのはよくあることで、一年目が最高記録となる場合も見られます。
その点、USJは、グラフにはまだ反映できていない、2014年度の入場者数が再び1000万人を越え、初年度の記録を更新した(1270万人)とのことです。
全般的に見ますと、2011年度については、3月に発生した東北大震災の影響で、特に関東では電力不足に伴う営業休止・自粛ムードの高まりなどもあったために、前年比でのマイナスが見られますが、それ以外は2010年代に入って、特に三強の施設については、伸びが続いている形となっています。
その他の目立つところでは、ハウステンボスが会社更生手続きを得て、旅行会社のエイチ・アイ・エスが支援による行われ、さまざまな施策が打たれたこともあり、入場者・業績を伸ばしていることが報じられています。
USJのここ最近の好調な集客には、2014年に開設されたハリーポッター関連のエリアと、2015年に期間限定(1月~5月)として開催された、「進撃の巨人」「エヴァンゲリオン」「バイオハザード」「モンスターハンター」関連のアトラクションで構成されるイベント、「ユニバーサルクールジャパン」も寄与したものと思われます。
日本産キャラクターをテーマにした施設としては、美術館という位置づけですが、ジブリ関連作品の「三鷹の森ジブリ美術館」(2001年10月開館)、サンリオのキャラクターたちが迎えてくれる「サンリオピューロランド」、かつて熊本に存在していた「ウルトラマンランド」、福島にある「リカちゃんキャッスル」、各地にある「アンパンマンミュージアム」などが思い浮かびます。
また、いわゆるジャパニメーション関連のアトラクション・展示物としては、富士急ハイランドの「エヴァンゲリオンワールド」(2010年夏~)、同じく富士急ハイランドで2000年から2013年まで運営されていたガンダム系アトラクション「GUNDAM THE RIDE」「ガンダムクライシス」、ジャンプ系の作品を集めた「J-WORLD TOKYO」(2013年7月オープン)、お台場・静岡に設置された「実物大ガンダム」(2009年初公開)などが知られています。
USJの「ユニバーサルクールジャパン」はこの流れの中にあると云えそうで、盛況だったこともあり、当初の予定から延長され、2015年6月末まで開催となったそうです。
このあたりの流れから、本格的なジャパニメーションテーマパークの開設が実現しますと、海外からの集客も含めて効果的と思えます。ユニバーサルジャパンの運営会社が、2015年秋にも株式上場を目指しているとの報道もありますし、期待したいところです。
なお、橋本知事時代の大阪府は、関西新空港に近い位置にあるりんくうタウンに、「クールジャパンフロント」と呼ばれる施設を開設する計画を進めていたそうです。ただ、こちらは、2014年10月に行われた事業者のコンペで、応募がゼロだったそうで、やや難航しているようにも見えます。今後の推移が注目されます。
【「クールジャパンフロント」に関する大阪府の2014年10月23日付け発表資料】
なお、年度ごとのランキングや、個別施設の入場者数推移などは、別コーナーにまとめています。よろしければ、ご参照くださいませ。