
こちらは、21世紀初頭(2001年~2014年)の邦画アニメ映画のシリーズ別の興行収入を、グラフ化してみようという記事になっています。
このところ、毎年のように名探偵コナンや、ドラえもん、クレヨンしんちゃん、プリキュアシリーズなどが映画化されていますが、その興行収入の多寡の感じや推移を見てみたい、というのが目的となっています。
基資料は、日本映画製作者連盟の公式サイト上で公開されている、年別の興行収入ランキング(10億円以上が対象)となっています。
邦画のアニメを、ジブリ作品や細田監督作品など、一連の作品とみなせそうなものも含めてまとめてみますと、こんな感じのグラフとなりました。
邦画、洋画のアニメも含めた全作品で、執筆時点で歴代トップとなっている、「千と千尋の神隠し」が、この期間内の2001年の作品ということもあって、ちょっと縦に長い、見づらいグラフとなってしまっています。
また、グラフの上方に置かれている点の多くがジブリ作品となっていますので、この時代における影響力の大きさが改めて感じられます。
そのスタジオジブリの宮崎駿監督が「風立ちぬ」を最後に引退を表明し、スタジオジブリ全体としてもアニメ制作から撤退する方向とのことですので、今後はだいぶ状況が変わってくるものと思われます。
なお、邦画の単発作品で、この期間に20億円近辺以上の興行収入となった作品としては、次のようなものがあります。
対象年 | タイトル | 順位(邦画) | 興行収入 |
2006 | ブレイブ ストーリー | 15 | 20億円 |
2006 | あらしのよるに | 16 | 18.8億円 |
2007 | 劇場版 どうぶつの森 | 17 | 17億円 |
2012 | 映画 けいおん! | 19 | 19億円 |
2013 | ドラゴンボールZ 神と神 | 9 | 29.9億円 |
2013 | 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ【新編】叛逆の物語 | 15 | 20.8億円 |
また、洋画のアニメ作品で、次に挙げるようなディズニー・ピクサー作品が、日本でも興行収入上位を記録しています。中でも「アナと雪の女王」は、アニメでは「千と千尋の神隠し」に次ぐ歴代2位に、総合でも「千と千尋の神隠し」「タイタニック」に次ぐ歴代3位にランクインしています。(いずれも、2015年7月現在となります)
1位 アナと雪の女王(2014年) 254.8億円
2位 ファインディング・ニモ(2003年) 110億円
3位 トイ・ストーリー3(2010年) 108億円
4位 モンスターズ・インク(2002年) 95億円
5位 モンスターズ・ユニバーシティ(2013年)
※ベイマックスは2015年扱い
さて、邦画アニメ作品の全体感は上のグラフのようになっているのですが、この稿の目的であるシリーズものの状況を見ていくには、連作ではなく、一作ごとに別作品となっているジブリ作品や細田守さん作品は除いて考えた方が適切、ということで、それらを除外したグラフが、下図となっています。
ドラえもんの映画は毎年のように公開されていますが、3Dドラえもんの「STAND BY ME ドラえもん」が、大人の観客も動員したとのことで、頭一つ抜けたような位置に立っています。
それ以外では、集計期間の前半には毎年公開されていて、ある程度の興行収入を記録していたワンピースが、数年に一度の頻度で公開されるようになって、一作当たりの興行収入が伸びている傾向にあるようです。
また、エヴァンゲリオンについても、難解との評もあった「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」も含め、右肩上がりとなっていまして、完結作になるとされている次作がどうなるかが注目されます。
一方で、名探偵コナン、ドラえもん、ポケモンの三シリーズは、この期間(21世紀初頭)を通して安定した興行収入を記録していまして、クレヨンしんちゃんもそれに次ぐ水準となっています。
そして、これらを凌ぐ勢いなのが、2014年公開作品ながら、正月映画ということで2014年のランキングには入らず、2015年のランキングに登場することになる「妖怪ウォッチ」になります。興行収入は77億円を超える水準だったとのことですので、こちらのグラフに当てはめますと、「ONE PIECE FILM Z」を上回り、「STAND BY ME ドラえもん」に迫る位置に相当する形となります。
邦画のアニメ作品全般の今後に目を向けますと、昨今の邦画アニメを引っ張っていたジブリ作品が無くなりますので、それに代わる代表的存在が何になるのかが、気になってしまうところとなっています。
興行収入的には、この年末に第二作「映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!」の公開が決まっている妖怪ウォッチの勢いが、加速するのか減速するのかが注目となります。
また、「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」と、一作ごとに興行収入が増加傾向にある細田守さん監督作品なども、期待されるところとなりそうです。2015年夏公開の「バケモノの子」は、最初の3週間で興行収入が25億円を突破とのことで、勢いとしては前作「おおかみこどもの雨と雪」を上回る状態となっています。
一方で、スタジオジブリの一連の作品は、歴史的にも突出したものと云えそうで、それに代わるような存在はすぐには現れず、多くの作り手さんが競っていく時代に突入していくのかもしれないですね。
なお、アニメ作品を含めた、邦画と洋画の年別ランキングは、関連サイトにて掲載中です。
よろしければ、そちらもご参照くださいませ。